診療の内容

患者さんには、年齢、体格指数（体重（Kg）/身長（m）²）の違い、多病を有する、臓器障害（脳梗塞、心不全、腎障害等）の有無、認知障害の有無、虚弱状態（フレイル）の有無、筋肉量減少（サルコペニア）の有無などそれぞれに違いがあります。それぞれの違いに応じた療養上の注意点を指導し、患者さんの特性に適した治療法を選択します

血管をしなやかに保つことは、若さを保つ秘訣です。動脈硬化の進展が血管のこわばりにつながり、動脈硬化の治療や生活習慣の改善が血管のしなやかさを保つことにつながります。動脈硬化は頸動脈エコー、心エコー、脈派検査で測定できます。動脈硬化は早期の治療介入が必要で、適時検査します。動脈硬化を認めた場合は、血糖、高脂血症、血圧の管理を徹底し、療養上の注意点を指導します。高齢化とともに心不全が増加します。心不全の予防は動脈硬化症の治療に尽きますが、不幸にして症候性心不全に進展した際には、適切な利尿薬の投与や心筋保護療法をより早期に開始します。

脳を守る治療は、脳血管を守る治療と、認知機能を守る2つがあります。脳血管を守る治療は、第一に動脈硬化の予防ですが、不幸にして動脈硬化が進行した場合や、心房細動が認められた場合には、抗血小板療法や抗凝固療法が必要になることがあります。
認知症は脳血管性と変性性のものに分けられます。アルツハイマー型認知症を代表とする変性疾患は根本的な治療はありませんが、薬物療法にて進行を遅らせることは可能です。進行を遅らせる治療で患者さん本人を支え、家族の介護負担を少しでも和らげることが可能となります。

問診にて、過去に喫煙歴を有する患者さんや、現在も喫煙を継続されている患者さんについては、禁煙の重要性について説明し、もし労作時の息切れが合った場合には、呼吸機能検査を行います。慢性閉塞性肺疾患（肺気腫）と診断した場合には、肺機能や症状に応じて気管支拡張療法（吸入療法）を開始します。また、早朝の咳き込み、喘鳴、運動時の咳についても、肺機能や症状に応じて気管支拡張療法を行います。早期肺がん発見のために、胸部X-P検査で疑い所見があれば、肺CT検査や気管支鏡検査を行います。

貧血や腹痛を認めた場合は、胃内視鏡検査や大腸内視鏡検査を適宜行い、胃がんや大腸がんの早期発見に努めます。
肝臓・胆嚢・胆管・膵臓についても腹部エコー検査や必要なら造影腹部CT検査を行い、がんの早期発見に努めます。また、ヘリコバクター・ピロリの除菌治療も行います。なお、精査が必要な場合には早期に専門病院に紹介いたします。

生活習慣病や心血管を守る治療を行い、更に健康寿命を延伸させる治療は、フレイルやサルコペニアの予防です。後期高齢期の寝たきりになる原因疾患は、65歳以下と違って、認知症、加齢による衰弱（フレイル、サルコペニア）です。
後期高齢者の場合、患者さん自身で予防できるのは、フレイルやサルコペニアです。運動習慣、栄養の摂取（特にタンパク質、必須アミノ酸）、人との会話、口腔内の衛生などが対策となります。患者さんの状態に応じて適宜指導していきます。

軽度の怪我や嵌入爪（巻き爪）、打ち身、骨折、湿疹、蜂窩織炎、皮膚潰瘍、褥瘡（床ずれ）、やけど、しもやけなどについても適宜対応し、専門医の診療が必要と判断した場合には早期に紹介いたします。

当院では、患者さんの利便性を図るため院内処方を行なっています。患者さんの便宜のため薬剤の一包化や薬袋に、服薬日、服薬時間（朝食後・夕食後など）の記載を行います。薬剤師による服薬指導や副作用等の相談も受け付けております。

当院では専用のリハビリ室を設け、リハビリ機器を設置し、脳卒中による麻痺、関節拘縮、急性疾患の安静療養に伴う歩行困難や筋力低下（廃用症候群）に対して、理学療法士による運動療法を行います。
また、変形性膝関節症、五十肩、圧迫骨折など整形外科疾患に対する外来でのリハビリテーションも行なっております。
脳卒中後の発語障害に対しては、言語聴覚士による発語訓練を行います。脳卒中や認知症に伴い飲み込みがうまくいかず、口からこぼれてしまったり、むせてしまったりする場合、言語聴覚士により嚥下機能検査を行い、嚥下機能障害に応じた食事形態の食餌を用いて、嚥下機能訓練を行います。